「まぁ、アデルからはっきりと聞いたわけでもありませんから、二人が恋仲であろうことは私の推測の域を出ていませんが」

ジョシュアの話が掴めず、ルイは困惑しながら狙いを付けることになる。
掴み所のない態度はアデルに似たものを感じるが、こちらのほうがずっと質が悪そうだ。

「……一人、のようだな。本当に何をしに来た」

動かしていた緑の瞳をジョシュアで止め、ライラはきつく彼を睨み付けた。
元々険しいライラに睨まれても、ジョシュアは何も怯えることなく笑みを崩さない。

「いえ、メルディ軍の進軍が見えたので、指揮官の命令を全うしようと思っただけですよ」

「……つまり、お前を捕まえて作戦を吐かせてもいいんだな?」

挑発的なライラの言葉に、ジョシュアは緩く首を振る。

「そんなことはしなくて結構。捕まえなくとも、お話して差し上げます」

「……は?」

「……え?」

ルイとライラは間の抜けた声をあげて、口を空けたままジョシュアを見つめた。