ユリアが城へ来た日より五日前に落ちた砦。
そして、ユリアと同時に届いた宣戦布告。
アデルの出陣よりも宣戦布告が遅いとは考えられない。

「宣戦布告が届くより速くあいつは砦を制圧してしまった。その速さの理由は、おそらくアデルはノルダ砦の攻め方をわかっていたんだ」

ライラの言葉に、ルイは首を傾げた。
策士としても評判のアデルなら、的確な攻め方が浮かぶことは何ら不思議ではない。
ルイがそのように考えるだろうことはわかった上で、ライラは淡々と言葉を紡いだ。

「アデルはノルダ砦を攻める場合にどうすべきか考えていたということになる」

「それが……?」

「わからないか?アデルは、この戦いが起こる前からノルダ砦を制圧するためにはどうすべきかを考えていたということになる」

空色の瞳が、大きく見開かれる。
それではまるで、前々からアデルがメルディを攻撃対象として見ていたようではないか。