「この国にはなぁ!いじめとか、権力乱用とか!
争いとか!嘘とか!
確かに醜いことだらけなんだよ!!!!!!!!!!」
王は口を開く。
「ならば消してもなんら問題なかろう!?」
その顔はもう必死で。
「だけどな、日本だけじゃねぇ、世界は!
そんな奴で埋め尽くされてるわけじゃねぇ!!!!
消すべき世界なんて、ひとつもあっちゃいけねぇんだよ!!」
綺麗事だ。
でも。俺は知ってる。
叔父だっておばだって。
優しくはけっしてなかったけれど、俺を育ててくれたじゃないか。
同級生だって。
心の中では後悔していたかもしれないじゃないか。
親だって。
俺を捨てたけど、「生きててほしい」って願いで
俺に生きるための金をのこしたじゃないか。
「この世にいらねぇ人間なんていねぇんだよ・・・」
俺は最後につぶやいた。