ーーそんなに、がっかりしなくてもっ!
友人達の顔色が一気に変わる。
「ってことは春さんの存在も知らないんだよね…」
「なんて可哀想な子なんだろ、彩って」
「私の人生に春さんがいないなんてもう、考えられないわ」
うなだれるように呟く姿に、
何だかつい負い目を感じてしまう私。
「いやっ、ほら、映画の吹き替えとかもやってるんでしょ!?声優の橘春樹って!」
そう言った瞬間、友人達の目つきがガラッと変わり、
「呼び捨て禁止っ!春さんは春さんなのっ!!」
グッと私の顔を睨みように食いついてきた。
ーーそんなに怒らなくてもっ!