空に浮かび満月。 そして見慣れた都会の夜景。 数時間前に見た広大な海と夕焼けは、 もしかして夢だったんじゃないかと思わず錯覚してしまいそう。 「でも、ホント何もなくてよかったよ」 二つのコーヒーカップを持ちながら、 リビングにあるソファーに座る春樹さん。 病院を出た私達はひとまず春樹さんの自宅へ行くことにした。 もちろん旅行バックもそのままで。 「そうですね。でも倒れた理由に少し呆れちゃいましたけど」