おじさんが
咳き込むようになった。


咳が止まらない。


心配でたまらない。


不安が募る。



そしてついに、

ハーモニカを
吹いてくれなかった。


相当辛いのだ。


吹いて欲しい。

けど、
無理はさせたくない。


「吹いて…」


声にならない声で
おじさんの背中に
話しかけた。



声は届くはずも無く、



ゆっくりと

部屋の扉が

しまって


静寂が訪れた。