「…鳴かないねぇ。」


ある日

演奏の後、
ため息混じりに
おじさんが
そう言っていた。


鳴きたい。


けど、

声が出ない。



おじさんの帰った後は、

いつも
発声練習をしていた。



いつか
おじさんのハーモニカに
合わせて鳴きたい。



おじさんを
喜ばせてあげたい。







おじさんを



飼い主とかではなく、





親のように


感じるように


なっていた。