ただ、
あの屋敷の傍に

行く事だけは
出来なかった。


あのインコを見たら

また辛くなる。


現実を
見たくなくなってしまう。


そう思って、

あのインコの部屋の

窓が見える場所は

知っていたけれど、


辞めてからは

一度も

そこには

近づかなかった。



自分のものでなくてもいい。

会えなくてもいい。



インコは生きている。

インコが幸せなら

それでいいじゃないか。



そう言い聞かせた。




彼は

一度

子どもを亡くしていた。