少しの間、メイド服と睨めっこ。

着るしかないんだよね…。

空太に見られなきゃいいわけだから…。

私は教室から出て、更衣室に向かった。


更衣室でメイド服に袖を通す。

やっぱ似合わないよ…。

一応の為、鏡で今の姿を確認したい。

でも、全身が映るような鏡は…更衣室のすぐ横の部屋。


私は更衣室から顔だけ出し、周りを確認した。

運の良いことに誰もいなかった。


よし!チャンス!

思いっきり駆け出した。
鏡のある部屋へと。

でも…。
この姿はちゃっかり見られていた。

「星菜?」

聞き覚えのある声に反応し、後ろに振り返った。

後ろに立っていた人物に目が見開く。

「メイド…すんの?」

優しく微笑んだのは…空太だった。

「いや…この…これは…違って。私はメイドなんか…」
「似合ってる」

言い訳するより早く、空太は言った。