外に出ると
柔らかい朝陽の中で
まだ一分咲きの桜の花が
春の訪れを告げるように
風にそよそよと
靡いていた。


教授はその風を
吸い込みながら
美優と《miyu》の短い人生を
感じてみようとした。


精神を病む辛さの中で
彼女は二人の人生を
生きていたのではないか・・?

彼女は普通の人間よりも
感受性が強く
それが単純に生きてゆく人生を
阻み苦しかったのではないか?


彼女の残した骨の結晶しか
見てはいないのに

彼女は今、現実には
存在しないのに

クレオパトラの骨でもないのに

何故か見てはいけない
彼女の神聖な秘部を覗いた気がした


死に再生があるとするならば
彼女がまた再び生まれて
今度こそ自分の生を
謳歌する事を
望まずにはいられなかった。