そのことがあった2日後、あたしは熱を出した。

もう何年も風邪を引いたことはなかったのに、結構な熱が出た。

ただでさえ平熱が低いのに、39℃が出るとものすごくしんどい。

それに、一人暮らしとなると誰にも頼ることができない。

食欲も何もないから、とりあえず美咲が買ってきてくれたアクエリアスを飲んで水分を摂っていた。


夏風邪というやつは、本当にたちが悪い。

インフルエンザ並みの熱と倦怠感が身体を襲った。

目眩も酷い。

目を閉じているのにもかかわらず、頭がぐるぐると回って、頭痛を誘発する。

その痛さに顔をしかめる以外できなかった。


「……気持ち悪」


吐き気はないのだけれど、とにかく気持ち悪い。

あったとしても出すものを何も摂っていないから出しようもないんだけれど。

こめかみに手を当てる。

ズクズクと痛む頭が本当に辛い。

目を閉じていると、涙が流れそうになる。


ここまでしんどいのは初めてかもしれない……。


ふと、部屋のインターフォンが鳴った。

その音さえも不快に感じるほど頭に響く。

寝ていた身体を起こすと頭痛が増悪した。

一息吐き出して、目眩が治まるのをそのままの体勢で待つ。

視界がハッキリとしてから重い身体を引き摺るようにしてインターフォンの画面の前まで歩いた。

ものの4歩程度なんだけど、それすらしんどい。

画面に映った顔を確認する。