その後、雨が酷くなってきて、少し濡れながらあたしはマンションに戻った。

傘も意味がないいつもの雨だった。

マンションは逆のはずだけど、司は送ってくれた。

本当に嬉しかった。


自分の部屋に戻る前に、美咲の部屋のインターホンを鳴らした。

少しして部屋着のままの美咲が顔を出した。


「どしたん? なんかあった? なんかめっちゃ嬉しそうやで」

「本当に? 顔に出てる?」

「出てる出てる。想像つくけど聞かせて」

「司が一緒にいてくれって……」

「よかったやん!」

「うん、ちょっとびっくりした」

「まぁ、時間の問題やとは思ってけどね。よかったやん」

「うん、本当に嬉しい」

「おめでと」

「ありがと」

「じゃ、うちもうちょい寝るわー。昨日バイトで夜遅かってん」

「うん、おやすみ。ごめんね、起こしちゃって」

「大丈夫やで。じゃね」


そう言って美咲は玄関の扉を閉めた。

息を吐き出して、廊下の外の景色を眺めた。

激しい雨が地を叩いている。


これが夏の雨だ。


長く続きそうな雨を横目に、あたしは部屋に戻った。