以前に西医体が終わってから同学のマネージャーで飲んだ。
部活でやるような激しい飲み会ではなく、あたしの部屋でまったりと飲んだ。
女子が集まれば、話題は自然とガールズトークになる。
「そう言えば、紗雪、司君やっけ? 最近その人とどうなんよ」
さっきまで話していた内容をぶっちぎって、美咲が缶チューハイを呷りながら訊いてくる。
「誰、それ」
奈々美と景子が興味ありげに食付いてきた。
「どうって……何が?」
「好きなんやないん?」
少し驚いた。
自分では考えたこともなかったし、未だにではあったけど、少しは智也のことも引きずっていたままだったから。
でも、あのホテルでの司とのメール以降、辛い思いも、苦しい思いもしなくなりつつあったのは事実だった。
「やって、特に何もあらへんのにメールとか続くんやろ? それって多少は好意があるからやろ」
「そうだねぇ。不愉快ならメールぶっちするしね」
「へぇ、紗雪がね」
三人が口々に言う。そうなのか……な?
よくわからない。
意識してメールはしていなかったし、司もそうだろうと思っていた。
そんなものなんじゃないのかな?
そういう話題の時に誰かの携帯が鳴った。
鞄近くにいた景子が、「紗雪のだよ」と携帯を手渡してくれた。
司からの写真つきメールだった。
「花火?」
データを開いて、確認すると夜空に咲いた花火の画像だった。
スターマインの全景が映し出されている。
それが添付されていただけで、本文には何も書かれていなかった。