権力というものは怖い。

このままでは私の家も総悟の家も生活をしていけない。


「ふざけてるのはどっちですか?可愛い娘を好きな人と幸せにする。当たり前なことでしょう?」


この人頭がおかしい。

自分のことしか考えてないのだ。


「馬鹿じゃねぇの?」

「良いんだな?総悟、このままならお前の家族も彼女の家族もボロボロだ。」

「ふざっけんなよ・・。」

「総悟が梨嘉と付き合えばいいだけのこと。」


「・・・・・わかったよ。」


すごく苦しそうな総悟を見ていられなかった。

けど私は何もすることができない。


「分かれば良いんだ。今すぐここで梨嘉と将来を誓うキスをしろ。」

「・・・・・・わーったよ。」


総悟は梨嘉さんのほうへ向かう。

あぁ、さっきまでは幸せでいっぱいだったのに。



「伊織、ごめん。ずっとお前だけが大好きだ。」



私にだけ聞こえる声で総悟がささやき、

総悟は私の後ろを去っていく。

私が顔をあげて梨嘉さんのほうを見ると、

総悟とキスをしていた・・・・・・。