「幼馴染の、宮崎梨嘉(みやざきりか)」

総悟はまず先に私に紹介してくれた。

「こっちは俺の彼女、上條伊織。」

私の肩を抱いて、総悟は梨嘉さんに私を紹介した。


「総ちゃんの婚約者の宮崎梨嘉でーす!」


自信満々に「婚約者」と言う梨嘉さんに私はびっくりした。


「梨嘉、バカ言ってんなよ。」


総悟も軽く流してるし、大丈夫であろう。多分。

なんて私が勝手に1人で安心してる時、

総悟のお父さんが口を開いた。


「そのことで、総悟と伊織さんに言いたい事がある。」


総悟に手を引かれ、総悟のお父さんとお母さんの前まで行く。


「今までは交際を認めてきたが、今後は認める訳にはいかない。」

帰りが遅くなったりした時車を出してくれた総悟のお父さん。

今までは賛成してくれてたお父さんから

思いも寄らないセリフが聞こえた。


「伊織ちゃん、ごめんなさいね。」

夕ご飯をご馳走してくれたり、総悟の昔話をしてくれた

総悟のお母さんも申し訳なさそうに顔を伏せた。



しばらくの沈黙がつらい。


「ふざけんなよ。」


沈黙を遮ったのは親を冷めた目で見る総悟の声だった。