「あ、ごめん、今のなし。」

別れた時、もう絶対言わないって決めたのに。

あぁ、総悟が困ってる。ごめんね、ごめんね。


「!?そ、総悟?!」


突然総悟が私を抱きしめる。


「ごめんな、伊織、ほんとにごめん。」


さっきは人に見られるのを気にしていた総悟が

今は私を抱きしめている。



私達2人の間にまたしても気まずい空気が流れた。

でも、総悟の腕の中は久しぶりで、

不謹慎だけど、すごく懐かしくてドキドキした。


あの頃より大きくなった背丈。

たくましくなった腕。

大人びた顔。


もう私の知っている総悟じゃない。

私だけの総悟じゃない。

その事実が悲しかった。


「総悟・・・好き。大好き。」

「・・・・・。」

「私の独りよがりで困らせてごめん。」

「・・・・・。」

「もう、2次元じゃまかなえないよ・・。」



そう言って泣き出す私に、総悟は

何度も「ごめん。」とつぶやいた。