大きく頷いた男性だったが、その視線を流浪している中には、緊張以外のものが含まれている。



こんな立地の悪い場所に、事務所を構えている所を頼って大丈夫だろうか?一回り以上歳が離れている、今時の若者風な風体の俺に依頼をしても、解決してくれるのだろうか?



此処を訪れる客が見せる表情や視線は、大凡の所こんなものだ。



繋ぎ止めているものと言えば、俺の気を使った言葉遣いだろう。



如何にもといった感じの、絵に描いたような真面目そうな男性。ハマった落とし穴は女か借金か…。



アイスコーヒーが届くまで、様々な依頼内容を空想させる。



女や借金の場合は、奏が経営しているクラブで抱えている弁護士を頼る事にした。



今の俺にはマコの件が有る。滑り込みで入ってきた依頼者だが、その手の事に時間を割ける余裕は無い。