思い出してみれば、奏のクラブを訪れた時にも、一葉は同じような目をしていた。



あれから時間を見つけては、あのベンチに座って見つめていたのかもしれない。



「ケイ、今ちょっと良いか?」



俺の声に気付いたケイは、集団の輪から離れて此方に向かってくる。



左の側頭部だけを編み込み、右側に寄せて束ねた髪の毛が、丁度胸元の上で揺れていた。



白いナイロンのパンツは、片足だけ脛の所で止められ、紺色のタンクトップで涼しげな点は羨ましく見える。