「ただいま…」
あたしはそのまま自分の部屋に入り、ベッドに倒れ込んだ。
制服にシワがつくかもな…
そんなことを思いながら眠ってしまった。
「りんか…」
誰かがあたしを呼んでいる。
「誰?」
問いかけても返事はない。
ただ、『りんか』と呼び続けるだけ。
ただ、なんだか懐かしいような声。
どこかで聞いたことのある声だった。
誰だかは全然わからなかった。
わからないまま夢は覚めてしまう。
「あ!!やっばい!」
目を覚ました時には既に朝。
しかも今日は学校。
あたしは猛スピードで階段を降り、シャワーを浴びた。
朝食は食べずに家を飛び出した。
久々に遅刻だ…
今までにないくらい遅い登校になってしまった。
「おはよ、りんか」
あたしは声がした方を向いた。
「涼…」
見間違いかと思ったがそこにいるのは涼だった。
「りんか、珍しく遅刻だね。
いないからびっくりしたよ」
今までみたいに、話しかけてくる涼。
「あ、うん。
珍しく寝坊した…」
涼は声を押し殺して笑っていた。
「りんかが、寝坊っ!!」
「別に笑うところじゃないよ?」
そう言いながらも笑ってしまう自分がぃた。
なんだ…
いつも通り、できるんじゃん。
前みたいに話せてるじゃん。
「話すの久々だな!」
涼はとびっきりの笑顔で言った。
あたしも笑顔を返した。
ホントだね!
とか、
色々ごめん。
とか、何で言えないのかな?