きっと、人間だし、期待するのはおかしいけど…
もしもあたしのお父さんがヴァンパイアなら、涼と結ばれるかもしれないんだ。
お母さんは何で隠すんだろう。
あたしのお父さんの正体や名前も。
「りんか、ごめんな?
ただ、俺が好きなのはりんかだけだ。
これはもうずっと変わらない」
あたしは小さく頷き、涼に抱きついた。
少しでも近くにいたくて。
限られた時間を大切にしたくて。
ずっとこのままでいられたらあたしは幸せなのに。
神様…
涼と離れ離れにしないでください…
家に帰り、すぐお風呂に入る。
今日は早めに出てリビングに向かった。
「ねぇ、お母さん」
夕飯の準備をしているお母さんの近くに立つ。
「どうしたの??」
あたしは、お母さんにちゃんと聞こうと思った。
あたしのお父さんのこと。
「あたしの、お父さんのこと知りたいの。
もう、隠さないで…全部話して…」
お母さんは戸惑いながらもできたばかりのおかずを持ってリビングにいった。
「そうよね…
りんかももう高校生だものね。
きちんと話すね。」
いつものようにテーブルをはさんで正面に座る。
お母さんがあたしを生んだのは、17歳だった。
相手は当時の彼氏で、当然お金なんてない。
親には猛反対されたが、命を無駄にするなんてできなかったお母さん。
1人であたしを産む決意をした。
彼氏が18歳になっても結婚できない理由があった。
その人は、人間じゃなかったから。
「ちょ、待って?
その彼氏さんは…もしかしてヴァンパイア?」
人間じゃなくて、結婚もできない。
それって…
「その通りよ」