「僕……怖くて。」
「怖い?何がです?」
言葉の意図が掴めず、首を傾げた。
「だって、だって…稔くんに嫌われたらって」
「はぁ?何言ってるんですか?俺がアナタを嫌いになる訳ないでしょう?」
違うんだ、と首を横に振る。
「なんか僕……スッゴく性格悪くて…」
「?」
「二人が友達だって分かってるのに、仲良くしてるの見るとムカつくって言うか…」
「…………。」
「宮塚くんが稔くんに触れるだけでイラつくし。」
それはつまり……
「僕…稔くんに嫌われたくない。」
「嫌うも何も…それヤキモチじゃないですか。」
「…え…………?」
「だから先輩はヤキモチ妬いていたんでしょう?」
諭すように言うと、先輩の頬が徐々に上気していく。
「え、あの、僕はただ…」
「ただ?」
「えっと、だから……っ」
可愛い…。
でもこれ以上イジメたら、このうるうるした瞳から涙が落ちそうだ。
「ふふふ…先輩」
優しく先輩の体を抱き寄せる。