川瀬は考えるように指先を口元に当てた。
「うーん…あ、」
「…なんだ?」
「そうか。そう言うことね。」
「だからなんだよ?」
川瀬が肩眉を上げて笑う。
「準備室見てみた?」
「準備室って化学準備室か?」
「そう。」
部室の隣。
そう言えば近すぎて探していない。
「探してない、けど…」
「行ってみ。きっといるから。」
「……なんで分かるんだ?」
「いーから、いーから。さっさと行ってあげなよ。そしてさっさと先生を解放してくれ。」
なんだ、それ?と疑問を投げかける前に、背中を押され教室を追い出された。
まぁいいか。
今は川瀬に時間を使っていられない。
ちょっとダルくなった足で、再び階段を駆け上がった。