「…由貴先輩?」
「何?」
「いえ、あの………」


稔くんが手にしていたガラス棒を机に置いた。


「そんなにジーッと見られると、さすがに気になるんですが。」


現在、部室には僕と稔くんの二人きり。
宮塚くんの姿はない。



「…え、そんなに見てた?」
「はい。」
「うそ、ごめん。」


僕は慌てて視線を逸らす。
そしたら稔くんの手が伸びてきて、僕の顎を掴んだ。



「謝る必要なんてないですよ。好きなだけ見てください。」
「~~~~顔、近いよ!!」



自分の顔が熱くなるのを感じる。

稔くんは時々意地悪だ。

でもこの笑った顔も嫌いじゃない。


「由貴先輩」
「あ…」


――キスされる。
反射的に僕は瞼をおろす。



「二人で楽しそうなことしてるんすね」




その声に驚いて、僕は瞼を開けた。

い、いつの間に………