僕にはちょっと不安なことがある。


隣で試験管を振る宮塚くん。

はや……じゃなくて、稔くんは宮塚くんに気をつけろって言ってたけど…。


どちらかと言えば…。



「どうしたんすか?俺の顔に何か付いてます?」


いつの間にか試験管から僕の方へ視線がきていた。



「ううん。何も」
「そうっすか?かなり熱い視線でしたけど?」
「………単刀直入に言うんだけど」
「はい。」
「宮塚くん……もしかして稔くんの事好きだったりする?」



宮塚くんは驚いて、でもすぐに不適に笑った。



「そうっすよ。鈍感だと思ってたっすけど、意外に鋭いっすね。」



うぅ……やっぱり。
気をつけるのは稔くんの方だよ!



「で、でも!稔くんは、その………僕と…僕と………」
「付き合ってるんすよね?知ってるっすよ。」



宮塚くんはあっさり肯定して、だから?と笑う。



「え、だから…」
「先輩と稔が付き合っているのが事実でも、俺がアイツを好きになっちゃいけない決まりなんてないっすよね?」



そう言われると何も返せない。


でも、でもでも……!



「稔くんは僕のものだよ!」
「…へぇ、結構言いますね。別に良いっすよ。先輩のものでも、奪うだけっすから。」



こ、これは…ライバル宣言!


宮塚くんは再び視線を試験管に戻した。



絶対負けない、稔くんは渡さない!

と心の中で、密かにガッツポーズをする僕だった。