先輩は口を開けて呆然と俺を見た。
「嫉妬…?早坂くんが?」
「はい。おかしいですか?」
「ううん。ちょっと意外って言うか……。早坂くんってもっとこう……冷静って感じかと」
「嫉妬ぐらいしますよ。」
俺は大袈裟にため息をついた。
「せっかく恋人になったというのに、先輩は全く前と変わらず。それどころか、前より触れ合えないじゃないですか。それに宮塚のことも大歓迎だったみたいですし?」
ごめん、と先輩は小さくなる。
「謝るって事は歓迎してたんですね?俺との時間が減るって言うのに?」
「ち、違うんだ!その……」
「先輩は本当に俺のこと好きなんですか?」
あ、今のは傷つけた。
先輩が泣きそうな表情で下を向く。
「すみません。言い過ぎました。やっぱり今日は帰ります。」
「あ!待って!!」
慌てて先輩は俺の手を掴んだ。
「宮塚くんが入って嬉しかったのは、恥ずかしかったから。」
「?」
「早坂くんと二人きりになるのが恥ずかしかったからなんだ。今だってすごく緊張してて……」
話す先輩は徐々に赤面していく。
「好きだから、恥ずかしいんだ。」
こんなに想ってもらっていたのに、俺は何が不満だったんだろうか。
「ふふふ、俺もまだまだ勉強不足と言うやつですね。」
ぎゅっと先輩を抱き締める。
「早坂くん?……もう怒ってないの?」
「そんな事言われて怒る訳ないでしょう。でも」