嫉妬、だなんて…
なんと女々しい。
乙女か俺は!
もしかしたら佐崎先輩は俺が思っているよりも、俺のことを好きじゃないのかもしれない。
「はっ……らしくねーな。」
川瀬に笑われるな。マジで。
ゆっくりと歩き出す。
…少し頭冷やさないと。
「ちょっと、待って!」
「…え?」
制服の裾を引っ張られて振り返る。
息を切らした佐崎先輩の姿があった。
「どうしたんですか?そんなに慌てて」
「あのさ、なんか怒ってる?」
「え?」
「だって機嫌悪いでしょ?僕、何かした?」
眉尻を下げて俺を見る表情。
ああ、もう!
っんとに可愛いな。
「機嫌は悪いですが…ただの自己嫌悪ですので気にしないでください。ちょっと――」
「ちょっと?」
「ちょっと嫉妬してたんです。」