「志原先生、誤魔化さないでください」
「あー…いや、昨日の放課後、化学室にいた佐崎を見かけてな。一人でやたら色っぽい顔してたから、相談のってやったんだよ。」
化学室?
部活を休みにしておきながら……?
「…それで?」
「ああ…」
―――――
『あの僕、最近おかしいんです!』
『おかしい?』
『はい…。実は後輩のことで……』
後輩?
っつったら早坂の事だよな?
『その後輩は頭が良くて、運動も出来て、少し意地悪だけど優しくて………。僕と関わってくれてるだけで、スゴい事だって思ってるぐらいで……』
なんだかなー…
複雑な心境になってきた。
相談っつーか、ノロケ聞かされてる気分だな。
『それなのに…この前、一緒に食事をした時からなんですが。僕はもっと仲良くなりたいって、もっと知りたいって思ってしまったんです…。これは我が侭でしょうか?』
『あー…』
我が侭ね。
佐崎らしい考えたが、そんなに重く考えなくてもいいのに。