真っ直ぐ本屋へ行くと思ったら、連れてこられたのは、どう見ても小さな洋食店。


「ちょうど昼時です。何か食べましょう。ここ、俺の好きな店なんです。」



早坂くんがドアを開けると、来客を知らせるベルが鳴った。


すぐに店員が笑顔で席まで案内してくれた。



「なに食べますか?」
「うーん……」


メニューは多種多様で、目移りする。


なに食べようかな……。



「決まりませんか?」
「あ、ごめん。二つで迷ってて……」
「何と何ですか?」
「ハンバーグとオムライス」


早坂くんが二、三回瞬きして、急に吹き出した。


「な、何で笑うの?」
「ははは、いえ、気にしないでください。佐崎先輩ってやっぱり面白いです。」


今、面白いこと言ったかな?



「僕、オムライスにしようかな。」
「決まりましたね。すいません」


早坂くんが手を挙げて、店員を呼ぶ。
すぐに笑顔の店員がオーダーを取りに来た。


「オムライスとハンバーグを一つずつ。」
「かしこまりました。」


軽く礼をして、店員は去っていく。