美優はそのまま甲子園の外へと向かった。
きっと今は涙目、アルプスへは帰れない。
私が球場の外を歩いていると、
「美優!!」
と、誰かが私の名前を呼んだ。
振り返ると、
「紗奈・・・」
スーツ姿の紗奈が立っていた。
「どうしたの?
帰りは明日の朝じゃ・・・」
「うん、でもどうしても帰りたくて
急いで一日早い飛行機に乗り込んだ!!」
紗奈・・・
そんなに宏大に会いたかったの・・・?
まぁ、私もわざわざ田舎から朝一で来たんだけどね。
そう思うと私はフッと笑ってしまった。
「どうしたの!?」
紗奈は不思議そうに首を傾げた。
「ううん、なんでもない。」
「試合は? 試合はどうなった?」
「フッ、今、校歌斉唱中・・・」
「そう・・・」
紗奈はホッとした表情を見せ、
肩を撫で下ろした。
「きっと私の応援があったからだろうね?
おにぎりも作って来たし、
宏大の足にテーピングも巻いたし。」
私は少し意地悪にそう言った。
「そう、ありがとう。」
紗奈は満面の笑みでそう言った。
美優は一度目を開き
びっくりした顔を見せたが、
すぐに「フッ。」と笑った。
「早く行ってあげて?
宏大が待ってるよ。」
「うん。」
紗奈は笑顔でコクンと頷き、
球場の中に入って行った。
美優はそんな紗奈の後姿を見送った。
やっぱりあの子には敵わないや・・・
美優は一つため息を吐き、微笑んだ。
ああ~っ!!
私の夏は終わったなぁ~!!
美優は青い空を見上げながら大きく背伸びをした。
夏も終わり、私たちは本格的に
受験シーズンへと突入した。
「ちょっと美優!!
あんた本気なの!?」
「だから本気だやって言ったやん。」
「よく考えーよ!!
バレーで食べていけるほど
世の中は甘くないで?」
「わかってるわ。」
「わかってない!!
美優は一時の感情に流されてるだけや!!」
「そんなんちゃうって!!
もう、私のことやねんからええやろ!!」
「美優ぅ~・・・」
「私な、オリンピック行きたいねん。
日の丸背負って世界と戦いたいねん。」
「また始まった・・・」
友美は呆れてため息を吐く。
紗奈に言われたからじゃない、
もちろんキッカケを
作ってくれたんは紗奈やけど、
今は私自身がそう思うねん。
全日本で戦いたいって・・・
紗奈との戦いもまだ終わってない!!
負けてばかりじゃ悔しいからな。
必ず紗奈にリベンジする!!
そして・・・
私は教室の窓からグランドを見つめた、
グランドでは宏大が練習をしている。
宏大のこともあきらめへん。
いつか必ず、私に振り向かせてみせる!!
美優は宏大を見ながらニコッと微笑んだ。
「もぉ~美優ぅ~・・・」
「はいはい。」
美優は友美の背中をポンポンと叩いた。
紗奈はプロになって全日本で
バリバリ活躍するだろう。
紗奈、待ってて!!
必ず追い着くから!!
私の目標でありライバル。
柴原紗奈・・・
いつかあなたに追い着き追い越してあげる!!
だからもう少し待ってて・・・
宏大も奪ってあげるから。
美優はニコッと微笑んだ。
高校三年の夏、私は大きな夢を見つけた。
その夢に向かって私はまだ
走り始めたところです。
「もぉ~美優ぅ~・・・」
「わかった、わかった。」
END
最後まで読んでくださりありがとうございました。
この作品は小説大賞エントリー作品です。
もうお気付きの方もおられるかもしれませんが、
この物語に出てくる
河西美優、佐久間宏大、柴原紗奈は、
『君への想いは放物線を描いて・・・』
に登場する三人です。
詳しく言えば、美優は
『君への想いは放物線を描いて・・・~君の想いと甲子園~』
に出演しています。
あちらの物語は宏大と紗奈が主役です。
で、宏大に恋する美優を描きたくて
この物語を描きました。
一生懸命な美優が恋を知り、ライバルができ、
秘めていたバレーの才能も開花した。
そして夢も持てた。
恋は実らなかったけど、
美優は素晴らしい時間を過ごしたと思います。
まぁ、今は実らなかった。
と言うだけでこの先はわかりませんけど・・・
三人の未来はまだ始まったばかり、
まだまだこれからです。
いいなぁ~自分もあの頃に戻りたい!!
野球の場面が少し解りにくかったかもしれませんが、
その辺は力量の無さ、ご了承ください。
小説大賞応援してくださるとうれしいです(^^)
最後までお付き合いくださり
本当にありがとうございました。
SHIRO