そう思いおひなのほうを見るとおひなのはれた目から、
一粒の雫が落ちた。

私は無理に笑顔を作りひなに笑いかけた。



「あやめでございます」


私は、できるだけ平然をよそおい、父上の部屋にきた。


「あやめか、入れ」

父上は、これまで聞いたことがないくらい低い声で言った。


「失礼いたします」

私は、父上の部屋の座布団の上に座った。

すると父上が、手でしっしとけらい臣下たちを部屋から出した。

しばらくの沈黙のあと、父上が口を開いた。

「あやめもう分かってると思うが聞いてくれ」


「はい・・」





「まず宮は、信永(のぶなが)の城に侵入して、3回目で、見つかって殺された」


「私が宮に、死んだ信永の遺書を持ってこいと申した」



「い・・いし・・遺書!」

私は、驚きのあまり父上がおっしゃっている最中なのにさえぎってしまった。

遺書は、一番警備がかたいから、絶対ぬすむものではないと言われている。

だから、遺書が欲しいときは、戦いをするしかないと・・・・・。

「私もこれほどの物を、娘に頼んだのは、初めてだ 」


私は、とても驚いた、いつもだったら父上がおっしゃっている最中に言葉を発したら

もの凄い形相でおいかりになる。

その父上が・・・