まあ現に今存在しているんだしいいや、
そう思って帰ろうとした時。


「………」

小屋の中から、人の足音が聞こえてくる。
藁を踏む音。

「…すみません…あの」

そう言って、もう一度尋ねると―――


「おやおや。これはリノン様ではありませんか」


真っ白な髪の老婆が、そこに居た。