「でも義理チョコだと思われたかもしれない」


少し落ちついてきたころ、彼女はぽつりとそう呟いた。


僕と相沢が付きあっていることは、たぶんみんなが知っている。


きっと、伊藤君も。


「相沢、わかれようか」


僕はそう告げる。


「なんかアンタに言われると私がふられたみたいでむかつく」


口調はおこっていても、その顔には笑顔がうかんでいて。


僕はほんとうに利用されていただけなんだと、胸がちくちくする。


わかってはいるけれど。


胸がちくちくする。