相沢の狙いどおり、彼女に言いよってくる男子の数はふえた。


僕は何度か、相沢を落とす秘訣やテクニックを聞かれたりした。


虫ケラレベルの人間であることと答えることもできず、僕はただ苦笑するだけだった。


だけど、伊藤君が相沢に近づいてくることはない。


「相沢が動かないと、まっていても伊藤君はこないよ」


「わかってるよ、そんなこと」


「がんばりなよ。相沢なら大丈夫だって」


いくら僕がはげましても、彼女は首を横にふるだけだった。