そのとき、コンコンという小気味いい音が響いた。


「…誰?」


「成宮です。お食事の用意が出来ましたが、いかがいたしますか」


成宮とはあたしが一番信用している執事。

そして、あたしの婚約者でもある。

でも、今ではその執事さえ信じられない。



「…し……食欲がないから…さげてもらえる?」



「しかし、食べなくては体に…」


「成宮……あたしがいいっていったらいいの!…もぉっ、ほおっておいてょっ…」



「結依!俺は…結依が心配なだけなんだ…。せめて一口だけでも。ここ1ヶ月まともにたべてないじゃん!!!!」


「うるさいうるさいうるさい!!!!零に心配される必要性なんてない!!!あんたは執事なのょ!?身分をわきまえなさいよっ!!!!」


「…失礼しました。では、下げさしていただきます。」



零は静かに部屋の前からいなくなった。