なおも腕をばたつかせて抵抗するが男は涼しい顔をして一切ダメージをくらっていなかった。


いい加減に離してもらわないと、ホントに誰かに見られてしまう。


やっぱりそれだけはどうしても嫌だ

茶化されるのなんて、ゴメンだ

だけど、もう体力の限界。

わたしみたいな運動一切できないヤツはすぐにバテてしまう。


くたっ と、体の力を抜いた。








「あれ?子猫ちゃんはもう疲れちゃった?」






サラサラの黒髪からのぞく黒い瞳が、わたしをまっすぐに見つめる


わたしの顔に、男の顔が近づく





まさかの事態に、わたしは顔を背けてしまう。

絶対に顔真っ赤だ。

人にこんなに近くで顔をみられるなんて。





そんなわたしを見て、男はまたクスッて笑って。




あまりにも甘ったるい空気が二人をつつむ。








「本当に、君はかわいい。今日から君は、わたしだけの子猫ちゃんだ。わかったかな?」






「な、なにを言ってるんですか!?」








「どうしてだい?」







「それはわたしが聞きたい言葉です!!!」







「だって、おちてたんだもん。」