男は再び四つんばいになった。

「まあそんな話はどうでもいいや。闘牛を怒らせたらどうなるか分かってんのか?」
「知らなねぇな。闘牛なんて見たことねぇから。」
「ならその身をもっておしえてやるよ!!」

男がショウに突進してくる。
すかさずショウがバリアを張った。

バチッ!

男の角がバリアを攻撃する。
しかし、バリアを突き破ることはできない。

「うおぉぉぉ!!」

男が力ずくでバリアを突き破ろうとする。
バリアがバチバチと音をたてながらそれを拒む。
やがて、男の角にヒビが入った。
と、思うと、角が見る見る砕けていく。
それに気づいた男がバリアから顔を離した。

「な・・・、俺の角が・・・。」


角の破片が男の足元にパラパラと落ちる。

「分かったか?お前の力じゃ俺を倒せねぇ。」
「くそ!」
「角を失ったお前はただの人間だ。諦めてここから立ち去れ!」
「ふざけんなぁ!俺にはまだ闘牛のごとき突進力がある。てめぇの骨を砕くことくらいわけねえ!」
「やめろ、俺はお前を傷つけるつもりはない。このまま普通の人間としてやり直せ。」

男の手が怒りに震えている。


「誰が下等な種族にもどるかぁ!」

男がショウに突っかかっていく。
ショウはリフレクターで男を体ごと跳ね返した。

「うおぉぉぉぉ!」

男はすぐに起き上がり、またショウに向かっていく。
ショウがなんど跳ね返しても男はショウに襲い掛かる。
やがて男は力尽きたのか、その場に倒れこんだ。

「勝負ありだな。」

ショウはその場をあとにした。


――コツ・・・コツ・・・
とある建物の大広間を何者かの足音が響く。

「四天王ヴォルグか・・・。」

大広間の奥にいた人物が呟いた。

「報告いたします。斬将マリクの死亡を確認いたしました。」
「マリク・・・。この間ジャックに処刑を頼んでおいたな。」
「ですがジャックによれば、すでに息絶えていたとのことです。」
「・・・例の小娘か?」
「ええ、あの砲撃のあとを見ても間違いありません。」
「そうか・・・。」
「そこで提案ですが、次にジャックに処刑してもらうターゲットをあの女にしてはいかがですか?」
「お前の言うことに間違いはあるまい。わたしがそのようにつたえておこう。」
「はっ!では失礼します。」

数分後・・・。

「お呼びでしょうか?」
「来たかジャック、つぎに処刑してもらう相手が決まった。」
「誰でしょうか?」
「ハンターのナオだ。今はもともと消すつもりのやつらを殺してくれているが、危険な芽は早めにつんでおきたい」
「仰せのままに。・・・Dr.ガロン様。」