そんな日が、1ヶ月ほど続いただろうか

様々なことを考え、
可能性を探り、
彼女は自分が病気なのだと思うようになった。

医者にいった方が良いのではないかとも思ったが、保険証は母が持っているし、由良は母と会話することを嫌っていたので諦めるしかなかった。


しかし、幸か不幸か
彼女には考える時間が山ほどある。
由良は現在16歳であったが中学生の頃から学校へは行っていないのだ。それでも本は良く読み、常に考えた。漢検一級や英検二級を持っていたし、学力的にも人間的にも頭が良くてさらには驚くほど美しかった。



1ヶ月と10日後、彼女はついに相対性理論を疑ってみることに決めた。

もし、あの1時間が本当に長い長い1時間だとしたら

長く長く感じる1時間ではなく、本当に長い長い1時間。

由良は左胸の上に手を当て、血の流れを感じ、血管の中で脈打つものを感じた。そしてほんの少しだけ口角をあげた。


私は物凄いことを発見してしまったのかもしれない。


彼女は、今夜、1時間の謎をどうしても解きたかった。また解かなければいけないような不気味な責任感を覚えた。