私は今、天龍高校の前にいる。
だが…
「今日さ、愛羅木さんたちきてねぇーのかな?」
「さぁ?でも、愛羅木さんたちが来ることあんまりねぇんじゃね?」
いかにも不良という人が”愛羅木”って言う人のことについて話している。
誰なんだろう?愛羅木って。
ドスッ
「おぃ、ねぇちゃん。どこみてあるいてんだぁ?」
それは、こっちのセリフなんだけど…
でも、私なんかが言えるわけがない。
「あっ、す、すいません。」
これでいいかな?
「謝って済むとおもってんのか?あぁ?」
ぶつかっただけなのにぃ…
輝羅にぃ、紘にぃ怖いょ…助けて!!
「なにしてんだ?」
男の人の声が聞こえてきた。
ん?誰?お兄ちゃんたちじゃない…
「女の子になにしてるの?」
別の人の声…誰?
「あっ!愛羅木さん!?」
「工藤さんも!?」
さっきまで私に文句を言ってた男たちが急にペコペコし始めた。
「今日、学校来られてたんですか?」
男一人が聞いた。
「関係ねぇーだろ。」
愛羅木という人が不機嫌そうに口を開いた。
「っ!すいませんでした!」
「つか、てめぇら誰だよ。」
知らなかったの!?てっきり、知り合いかとおもっちゃったじゃん!
「あっ!俺、海江田由貴(かいえだよしき)って言います!」
って、あなたも自己紹介しちゃうの!?そこわ、知らないんスカ?とかいうんじゃないの!?この人たちなんなの?
「ふーん。でもさ、興味ないんだよね。」
ゾクッ
冷水をかけられたみたいに身体が震えた。
「「!?」」
男たちもびっくりしたようで動かなくなってしまった。
「君、大丈夫?」
私がボッーとしているとさっき助けてくれた紳士みたいな男の人が立っていた。
「あっ、はい。あの、さっきはありがとうございました。」
「いゃ、いいよ。」
さっきとは、別人みたいに話してくれる工藤さんって人。
「助かりました。本当にありがとうございます。それじゃ。」
丁寧にお礼を言って帰ろうとしたとき、
「あっ、君さ名前なんていうの?」
名前を聞かれた。
「姫川愛です。」
「愛ちゃんでいい?俺は工藤恭弥(くどうきょうや)
。で、こっちか愛羅木空磨(あいらぎくうま)よろしくね★愛ちゃん。」
「こちらこそよろしくお願いします。じゃ、また」
「バイバイ」
もう、会うことはないと思ってた。
神様は、見てるんだね。