人数が膨大で単独行動が比較的苦にならない、それが大学のイメージだったのに。

私は他人と接するのが大の苦手。

身長が高く、真っ直ぐで長い黒髪と、睨み付けているような大きくてきつい目元。

そんな近寄りがたい外観もあってだろうか、
中学も高校も何かと馴染めなかった私は、いつの間にかひどく冷めた性格になってしまった。

違う、本当は皆と仲良くしたかった…のに。


ーガラリ。

私が教室の扉を開くと共に、たくさんの好奇の瞳がこちらをじろりと見つめてくる。

私はこの視線が大嫌いだ。

「…、」

こんなとき笑顔でよろしくね、とでも可愛らしく言えたらと、今までどれほど思っただろうか。

しかしその意に反して自然と顔が下を向いてしまう。

入学早々景気の悪い顔で自分に割り当てられた席に腰を下ろした。

「ん…あれ…蒼依、?」

「…え、?」

しょぼんとうなだれていると、不意に私を呼ぶ声がした。