神埼は何かを決意したように軽く咳払いすると、私の目を真っ直ぐに捉えた。

「こないだ。」

「こないだ?」

「…悪かった、怒鳴って。」

「え、」

「っ、じゃあな!!」

ばたん。

扉が、閉まった。

最後はやっぱり気恥ずかしくなってしまったのか、若干俯いて早口で捲し立てるように言われたけど。

私…謝られた?

鳩が豆鉄砲を食らった顔を見たいならばどうぞ私をご覧ください。

あの強情そうな神埼恭汰に、何と謝られました。

しかも割かし真剣な顔をして。

今日はどうやら嵐になりそうです。

あぁ、そしたら明日は学校に行かなくてもいいかしら。

「…学校、か」

明日は神埼は学校に来るんだろうか?

私の左隣、に。

もし来たら一体どんな顔を向けたらいいのだろう。

敵、ではないけれど。

かといって仲良くお話するほどの間柄ではない訳で。

「…ああ、気まずい」

何となく、気まずい。

明日ふつうに神埼と私がしゃべったら、内田くんは、凌くんは、亜理紗ちゃんは、一体どんな反応をするんだろうか。

きっと目を白黒させるであろうみんなの反応を見るのは楽しみな気もするけれど、やっぱり何だか気恥ずかしいなとぼんやり思いながら、眠りについた。