「はぁ、気分悪いわ…」
一体何なんだ。
ただちょっと肩がぶつかってしまっただけなのにああまで公衆の面前で恥をかかされなければならなかったのか。
それに、スーツを着ているからといって社会人と思われるのはちょっと複雑。
確かに老け顔だけど、私はまだ正真正銘18よ!!
…あの男も社会人、なのだろうか?
あんなふざけた茶髪にシルバーアクセサリーをつけた上から目線の不躾な奴が、社会人?
笑わせてくれる。
そんな男に注意なんて、される筋合いなどない。
しかしあの男が社会人ならばもうこの先、出会うことなど二度と無いだろう。
ならば…今日のことは、忘れてしまおう。
あぁ、私ってばなんて心が広いんだろう。
私は自己満足しながらその場から逃げるようにそそくさと大学へ向かっていった。
無事、入学式には間に合った。
私の学科はどうやら40名しかいないらしい。
これでは高校のときと何ら代わり映えがしない気がする。