・・・わお。
勢い余ってそこまで言ったか。

最後にすみかは声のトーンを大幅に下げて、
尚も赤らんだ顔で、
「どーしよーっ」
と一言。あたしに一足遅れてケーキにかじりついた。
ホントに素直で可愛いなあ・・・。
あたしはすみかに惚れたかも。

ていうかすみかなら江田くんの一人くらい目じゃない気がするな・・・
てかすみかが江田くんに惚れるとは。
「なんで江田くんの事好きになったの?」

江田くんは陸上部で、
あんまり目立たない存在。
細めの体型に短い髪、いっつも男子とつるんで溶け込んじゃってる。
言わせてみれば、どこにでもいそうな人。

いちごを口に放り込んだすみかは、今度は冷静に語り始めた。
「江田くんが部活してるとこを見たの。ハードルやってるとこ。あ、ほら、前に言ったでしょ?あたしも中学のころ陸上やってて。それでかっこいいなって─」

そう言えば言ってたっけな。

「じゃあ、あたし協力するからさ、頑張ってよ♪」
「うん、ありがと!」
すみかの表情は明るくて、恋してます前開って感じ。
実はもう1つケーキ食べたいかもって気分だったけど、
あきらめてカフェを出て、すみかに別れを告げた。