いい気味じゃない?

今まで見て見ぬ振りをしてた弱い人間だもの。傍観者だもの。





「ふふ…」



「あれぇ、何が可笑しいのかな?」




私は自然と笑いを溢していた。





「…別に」




「そぉ。次笑ったら刺すからね」





彼がカッターの刃先を私の首筋に当てながら、私の耳元で囁いた。




教室はシンッと静まり返っている。




高みの見物人や、チラッと私を見ながらも、机で寝てる人。
音楽を聴きながら、勉強をしてる人。





心の中が虚しくなる。


丁度一ヶ月前まではあんなに仲良かったのに。



確かに、私がイジメられていた当初は、影からでも助けてくれた子は居た。


だけど、次第に、時が経つにつれて助けてくれていた子は跡形もなく居なくなった。



どうせ、怖気づいたのだろう。




もし私を助けていた子を、誰かが見つけたら、その子も私みたいに被害に遭う。




最初から、“イジメられている子を助けてる”という、正義感に浸りたかっただけだけだろう。