まぁるい頬をちょっぴり赤くして、ニカニカと笑う料理長。
「あま~いアラン様をご覧になっているのは、エミリー様だけだからなぁ・・・二人っきりの時なんか、どんな表情をなさるのだろうなぁ」
うんうん、と訳知り顔で頷いてニカニカと笑う料理長に、エミリーは首を傾げつつ曖昧な笑みを返す。
「え・・・っと、そんなことはない・・と、思うわ?」
「またまたぁ、エミリー様はぁ。まぁ、いいです、いいです。あなた様はそのままで」
そう愉しげに言いながら、奥に引っ込んでいく料理長のふくよかな背中を見ながらエミリーは考える。
――あま~い、アラン様に、叱らないアラン様??――
やっぱりどう考えても、料理長の言うような風には思えない。
だって、そうなのだ。
二人っきりでいても表情はいつもあまり変わらないし、少し考えたただけで、叱られたあんなことやこんなことが、簡単に思い出せてしまう。
とても厳しい顔付きで、“君は何をしておる”とか“全く、君からは目が離せぬ”とか“それは、駄目だ”とか、それはもういろいろ・・・。
それをとても低い声で言われてしまったときは、氷の王子様と呼ばれるだけあって、とても迫力があって怖いのだ。
そのあとに、必ず、逞しい腕にすっぽり包まれてぎゅぅと抱き締められたり、あたたかい掌で頬を包まれてしまうのだけど。
「あれは、やっぱり、怖いお顔で叱りすぎたから慰めてくれているのよね・・・?」
甘いわけではないと思うわ。
と、エミリーがぶつぶつと呟いていると、“シャルルフード”がこんもり盛られたお皿が差し出された。
「エミリー様。はい、これをどうぞ。今日は、魚をメインに作ってみました。どうですか?」
「ありがとう。シャルルはお魚が好きなの。よろこぶわ」
エミリーが受け取ろうと手を出すと、シリウスの腕にすっぱりと遮られた。
「エミリー様、それは私が部屋までお持ちします。料理長、皿を此方に」
シリウスに部屋まで運んでもらったエミリーは、ついでに籠をテラスに出してもらった。
そろそろメイたちがお部屋の掃除を始める頃。
シャルルがゆっくりできないし、メイたちもおっかなびっくりな感じで、毎回シャルルのいる籠を避けていた。
「シャルルは、こんなに大人しくて、かわいいのにね?牙がいけないのかしら?とても小さくて、危険なんてないのに――」
むしゃむしゃと美味しそうにフードを食べるシャルル。
動くたびに首元につけた鈴がちりんちりんと鳴る。
これはつい昨日に、アランが“いつでも何処にいるか、分かるほうが良い”と言ってつけたもの。
「あま~いアラン様をご覧になっているのは、エミリー様だけだからなぁ・・・二人っきりの時なんか、どんな表情をなさるのだろうなぁ」
うんうん、と訳知り顔で頷いてニカニカと笑う料理長に、エミリーは首を傾げつつ曖昧な笑みを返す。
「え・・・っと、そんなことはない・・と、思うわ?」
「またまたぁ、エミリー様はぁ。まぁ、いいです、いいです。あなた様はそのままで」
そう愉しげに言いながら、奥に引っ込んでいく料理長のふくよかな背中を見ながらエミリーは考える。
――あま~い、アラン様に、叱らないアラン様??――
やっぱりどう考えても、料理長の言うような風には思えない。
だって、そうなのだ。
二人っきりでいても表情はいつもあまり変わらないし、少し考えたただけで、叱られたあんなことやこんなことが、簡単に思い出せてしまう。
とても厳しい顔付きで、“君は何をしておる”とか“全く、君からは目が離せぬ”とか“それは、駄目だ”とか、それはもういろいろ・・・。
それをとても低い声で言われてしまったときは、氷の王子様と呼ばれるだけあって、とても迫力があって怖いのだ。
そのあとに、必ず、逞しい腕にすっぽり包まれてぎゅぅと抱き締められたり、あたたかい掌で頬を包まれてしまうのだけど。
「あれは、やっぱり、怖いお顔で叱りすぎたから慰めてくれているのよね・・・?」
甘いわけではないと思うわ。
と、エミリーがぶつぶつと呟いていると、“シャルルフード”がこんもり盛られたお皿が差し出された。
「エミリー様。はい、これをどうぞ。今日は、魚をメインに作ってみました。どうですか?」
「ありがとう。シャルルはお魚が好きなの。よろこぶわ」
エミリーが受け取ろうと手を出すと、シリウスの腕にすっぱりと遮られた。
「エミリー様、それは私が部屋までお持ちします。料理長、皿を此方に」
シリウスに部屋まで運んでもらったエミリーは、ついでに籠をテラスに出してもらった。
そろそろメイたちがお部屋の掃除を始める頃。
シャルルがゆっくりできないし、メイたちもおっかなびっくりな感じで、毎回シャルルのいる籠を避けていた。
「シャルルは、こんなに大人しくて、かわいいのにね?牙がいけないのかしら?とても小さくて、危険なんてないのに――」
むしゃむしゃと美味しそうにフードを食べるシャルル。
動くたびに首元につけた鈴がちりんちりんと鳴る。
これはつい昨日に、アランが“いつでも何処にいるか、分かるほうが良い”と言ってつけたもの。