「眠い…」

先生の話は長い。
正直飽きる。
だいたい話が長いと授業までの休み時間がへる。それで「急ぎなさい!」とか「遅い!」とか言われる。はっきし言って、先生は矛盾している。

「えー、今日は転校生が来ます」
「……」

こんなボロい学校に転校生なんて…なんて物好きなんだろ。

「神谷!」
「はいっ!?」
「お前休み時間にでも校内を案内してやれ」
「はい、分かりました」

あー…、面倒だな。

「頑張ってね~!由紀会長」
「…うん、ありがとう!真希後でいつものとこに来てもらってもいい?」

「は、はい…」

これだから生徒会長は面倒なのよ。何でもかんでも生徒会長に任せてさぁー…、ちょっとは自分たちでやんなさいよ!!

「…みや、神谷!!」
「え!?あぁ、どうかしましたか?先生」
「学校案内なんだが、1時間目の時にでも行ってくれないか?」
「いいですけど、なんで1時間目なんですか?」
「休み時間は廊下騒がしいだろ?だから静かな時にでも行け」
「分かりました」
「おい、梶!!こっち来い」
「はい」

"梶"普通の名字ね。

「梶翔でっす!!宜しくな!」
「えぇ、こちらこそ宜しくね」

"かじ しょう"…、響きはいいわね。

「ん?どうかしたんスか」 「いえ、ではまず1階から案内しますね」
「おうっ!!宜しくな」
「宜しくな、神谷」
「はい。では梶くん行きますよ?」
「おう」

なんかムダに元気だなぁ、この人。…でも、顔はモデル並みにかっこいいわー…。

「まずここは金工室で、隣が木工室です」
「へー…」

とりあえず身長185~190㎝ぐらい、筋肉は程よく付いていて体重63~65㎏って程度かな…。

「ここが社会科資料室でー…」
「なぁ、神谷」
「なんですか?」

いきなり呼び捨てかよ!?

「下の名前なんて言うの?」「由紀です。神谷由紀」
「あ!あとさー…」
「はい?」

なんなのこの人…。

「なんで敬語なんだ?」
「初対面ですし…今は案内をさせて頂いていますから」
「猫被りだな」
「は?」

猫被り??

「由紀は皆の前ではしっかりしてっけど、実はめちゃくちゃ性悪なんだろ?」 「あたしがですか?そんなワケないですよ、ただ生徒会長らしく振る舞っているだけなんです」

この男って失礼だよね!?

「ふぅん…??」
「続けさせて頂きますね」 「おう、止めて悪かったな」
「いえいえ大丈夫ですよ」