「ふふ……」
へんなの。
こんなにいじっぱりで、意地悪な人が好きだなんて。
にらまれて、安心するなんて。
「何を笑ってるんだ。
人が大怪我をしたのが、そんなに嬉しいか」
「へんなの、そんなわけないじゃないですか」
「変なのはお前だ。
ニヤニヤニヤニヤして……」
カプッ。
「いっ……!」
いつの間にかそばにいたアキちゃんが、
あろうことか瑛さんの左手を噛んだ。
「この、バカ使い魔!
痛い痛い痛い、離せ!」
「うわあアキちゃん、それはやめてー!」
珍しく取り乱した瑛さんに満足したらしく、アキちゃんは口を離した。
「こいつ……たまには褒めてやろうと思ってたのに」
「にゃん?」
「主のために、よく働いたな、お前」
「にゃあ!」
瑛さんは右手で乱暴にアキちゃんをなでる。
アキちゃんはそれほど嫌でもなさそう、
むしろ嬉しそうだったのに……。