「……ここは」
「音羽の家です。
あたし達、全員無事で……
皆のおかげで、帰ってこれたみたいです」
「みたいです?」
「あは、すいません……
あたしも倒れちゃいまして」
マヌケに笑ってしまうと、瑛さんは身体を起こそうとする。
「……っ……」
「無理ですよ、寝ててください。
って、起こしちゃったのあたしですけど……」
「大した事ない……」
結局片手で上半身だけ起き上がった瑛さんは、
自分の怪我の具合を調べているようだった。
「左手は……」
「痛いに決まってるだろう。
が、傷さえふさがれば……何とか動きそうだな」
良かった……。
本当に痛そうだけど、憎まれ口叩く元気があるんだ。
あの戦いで、伊奈に話しかけていた瑛さんは、
自分の傷をさらしてしまったから。
もう、意地悪な瑛さんはどこかへ消えてしまったんじゃないかと、心配した。