「な……っ」
「そろそろ、終わりにしましょう!」
伊奈が真言を唱えると、瑛さんの炎の幻が消えて。
あたしの姿が、丸見えになってしまう。
「少し我慢してください!」
そう言うと、あたしに向かってお札を投げつけた。
お札は真言の力で、ナイフのように光って……!
「…………っ!!」
ザシュ、という皮膚を突き破る音がした。
なのに……。
「…………?」
痛くない……。
どうして?
思わず閉じた目を、恐る恐る開ける。
すると。
目の前に見えたのは、紅。
「……っ……」
苦しそうなクセのある声が、耳元で聞こえて。
やっと、瑛さんがあたしを庇って傷を負った事がわかった。
「……い、やぁぁぁっ!!」
夢と同じ……!!
瑛さんまで……!!
どうしよう、皆を助けなきゃ……!