鷹は羽だけを残して消え、太一は悲鳴を上げて倒れてしまう。


「太一いぃっ!!」


「式神が傷つけば、術者も傷つく。

だから防御を何より優先しなくては。

戦いの基本ですよ」


伊奈の冷たい嘲笑が届く。


「よそ見をするな!」


瑛さんの声が響いたかと思うと、二人の間に紫色の炎が上がる!


伊奈は飛び退き、直撃を避けた。


「良くできた幻術ですね。

しかし、幻術は幻術だ」


「チッ……!」


こちらを無視して戦う二人の横で。


「よくも太一を……!」


清良が立ち上がり、伊奈をにらみつける。


「こんな木、全部切ってやる!!」


清良が刀を構え、木々に向かっていく。


そして木々に貼られたお札を次々に切り裂いていく。


木々は力を失ったように見えたが……。


「ふっ……小賢しい」


「!!」


伊奈がこちらを向いた瞬間、別の木々から木の葉が舞う!