結婚しても、やっぱり野ばらの拒否反応は変わらなかった。


「…ねえ、チューしちゃだめ?」

「だめ」

「ちょっとだから」

「嫌」

「一秒」

「嫌」

「じゃあ一分」

「増えてるよっ」



ダブルベッドで、しかも夫婦の営みの後の会話がこれだ。

ムードもあったもんじゃない。



しょうがないから僕は、野ばらを引き寄せて瞼にキスし、泣く泣く唇を諦めた。